こんにちは。
大宮はまだ眼科西口分院
院長の福岡詩麻です。
昨日(2024/3/4)、
ステロイド点眼薬の一部が
出荷停止、限定出荷となる
お知らせが届きました。
限定出荷というのは、
製薬会社から医療機関や薬局に
十分な薬の量が手配できなくなること、
出荷停止というのは、
製薬会社から医療機関や薬局に
薬が届かなくなるので、
医療機関や薬局の在庫の薬がなくなったら
その薬が患者さんには
処方できなくなるということです。
昨年から、
ステロイド点眼薬の
後発品の限定出荷がありましたが、
その影響を受けて
今後しばらくの間
先発品である以下のステロイド点眼薬の一部が
処方できなくなります。
出荷停止
フルメトロン0.1%、0.02%、
サンベタゾン0.1%
限定出荷
サンテゾーン0.02%、0.1%
それに伴い、 フルオロメトロンの他社の後発品の
処方も難しくなります。
ステロイド点眼薬は
目の手術後やぶどう膜炎など
目の炎症をおさえるために
さまざまな目の病気の治療に
つかう薬ですが、
今の時期に
一番多く処方するのは
花粉症の患者さんに対してです。
今年も花粉症の季節になり、
当院でも目のかゆい患者さんが
受診されています。
花粉症による
アレルギー性結膜炎には
抗アレルギー点眼薬が基本ですが、
症状や所見が重症な場合は
ステロイド点眼薬を使います。
これからが
花粉症のピークとなる時期ですので
ステロイド点眼薬が手に入りにくくなると
花粉症による目の症状がおさまらず
つらい方もたくさんいらっしゃるだろうとは
思いますが、
ステロイド点眼薬以外の
花粉症対策もたくさんありますので
まずは生活の中でできることから
やってみていただければと思います。
薬にたよらない
自分でできる花粉症対策
1)花粉を避ける
花粉飛散量が多いときには
外出を控えることが大切です。
外出するときは、
インターネットで公開されている
花粉情報を参考にしてください。
昼ごろと夕方は
花粉の飛散が多い時間です。
晴れて気温が高い日
空気が乾燥した風の強い日
雨上がりの翌日に
花粉が特に多くなります。
2) 花粉から目や鼻を守る
花粉症対策としては
マスクやメガネで
物理的に花粉を防いでいただくのが
一番です。
通常のメガネでも
目に入る花粉の量を減らすことができます。
目の症状が強い方は
花粉症用のゴーグル型のメガネを
使っていただくとなおよいです。
コンタクトレンズを使うと、
レンズについた花粉で
アレルギーが悪化しますので、
花粉が多い時期は
メガネに切り替えていただいたほうがよいです。
3) 眼瞼清拭
顔を洗うだけでなく
まぶたの縁を洗う
「眼瞼清拭(がんけんせいしき、
リッドハイジーン)」をすると、
まつげについた花粉も
洗い流せます。
石鹸や洗顔料が目に入ると
目がしみて
目の表面があれてしまいます。
目元専用の洗浄液が
市販されていますので
ご自分にあったものを選んで
使用してください。
4) 外出時の服装
一番外側に着る服やコートは
表面がなめらかな生地のもののほうが
花粉がつきにくいです。
外から帰ったら、
玄関に入る前に
衣服についた花粉を
落とすようにします。
5) 家でできる対策
花粉が多く飛ぶ日には、
窓をしめておきます。
花粉の飛散時期は、
洗濯物や布団を屋内で
干すようにします。
花粉症の治療
眼科で処方する花粉症の薬について
ポイントをまとめておきます。
1) 抗アレルギー点眼薬
抗アレルギー点眼薬は
目がかゆくなってから
そのつど点眼するよりも
時間を決めて点眼するほうが効きます。
点眼をさしすぎると
目の表面が荒れてしまいます。
決められた回数を守ってください。
点眼は一度に1滴で十分です。
2) ステロイド点眼薬
抗アレルギー点眼薬だけでは
効果が不十分な場合に処方されます。
眼圧上昇や感染症、白内障などの
副作用に注意が必要なので、
定期的に眼科で検査・診察を受けながら
使っていただくことが大事です。
3) 内服薬・点鼻
目のかゆみが強い場合や
鼻症状もある場合は、
抗アレルギー薬の内服や
点鼻薬を併用すると
症状をやわらげることができます。
※アレルギー性結膜炎だけの場合は
内服薬や点鼻の保険適用はありません
4) その他
アレルギーに対する
点眼薬、内服薬、点鼻薬は対症療法です。
症状を和らげるためのもので
アレルギー自体を根本的に
治すことはできません。
アレルギーをおさえる治療としては、
舌下免疫療法や皮下免疫療法などの
減感作療法があります。
耳鼻咽喉科やアレルギー科など
専門の医療機関でご相談ください。
さいごに
必要なときに
必要な薬が使えるというのは
ありがたいことですね。
今回出荷停止、限定出荷となる
ステロイド点眼薬も
4月頃には徐々に処方できるように
なるとのことです。
製薬会社や薬局で
対応してくださっている方々
どうもありがとうございます。
なにより
みなさんの花粉症の症状が
少しでも楽になりますように。
お大事になさってください。
<参考文献・サイト>
環境省 厚生労働省 花粉症対策
<院長ブログこれまでの花粉症の記事>
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