こんにちは。
大宮はまだ眼科西口分院
院長の福岡詩麻です。
新型コロナウイルス感染症
(正式名称coronavirus disease 2019、
略してCOVID-19)のため、
本日(2020/2/27)から
東京で開催予定だった
角膜カンファランス2020
(角膜専門の眼科学会)の
延期が2日前に決まりました。
私も学会発表予定でしたが
時間があいてしまったので、
なにか出来ることはないかと思い、
新型コロナウイルスの結膜炎についての
記事を書くことにしました。
以下、2020/2/28時点での内容になります。
⇒2020/12/26更新しました。
<結膜炎とは>
結膜炎は、白目の炎症です。
白目が充血して赤くなり、
めやにが出たり、涙が出たりします。
まぶたが腫れることもあります。
<新型コロナウイルス感染による結膜炎>
新型コロナウイルスに感染すると、
初期症状に「結膜炎」を発症する
可能性があるといわれています。
すなわち、
眼科に受診した時点では、
結膜炎のみの症状や所見
(めやにや充血)しかなくても、
実は新型コロナウイルスに感染していて、
後日、発熱や咳、息切れ、倦怠感
といった症状が出て肺炎と診断され、
検査してはじめて
新型コロナウイルスに感染していたことが
わかる場合があるということです。
くわしい所見と症状については
こちらをご覧ください。
ただ、今のところ、
新型コロナウイルスが
目に病気をおこすのは目の表面のみのようです。
眼底(眼の奥)にまで
感染が広がったという報告はありませんので
後遺症として視力に影響が出るようなことはなさそうです。
<診断方法>
現在、
新型コロナウイルス診断のための検査は、
鼻腔咽頭ぬぐい液や痰などを検査材料として
遺伝子増幅法(PCR)が行われています。
新型コロナウイルスに対する
簡易検査キットはまだ販売されておらず、
眼科で、結膜炎が新型コロナウイルスに
よるものかどうかの診断はできません。
今の季節は花粉症で
アレルギー性結膜炎の方が多い時期です。
また、細菌性結膜炎の場合もあれば、
普通のウイルスによる風邪でも
結膜炎症状が出ることもあります。
アデノウイルスによる流行り目
(流行性角結膜炎)の
患者さんも意外にいらっしゃいます。
(アデノウイルスは
簡易検査キットがあります)
現時点では、
新型コロナウイルスによる結膜炎と、
他の結膜炎との区別が
できないというのが眼科での現状です。
くわしい所見と症状、
ウイルス検出時期については
こちらをご覧ください。
<治療>
新型コロナウイルスによるそのものに効く
抗ウイルス薬はまだ確立していません。
新型コロナウイルスに効く点眼も
わかっていません。
結膜炎の症状が出て
眼科を受診した場合、
細菌性であると判断されれば、
抗生剤点眼が処方されます。
また、ウイルス性と考えられた場合でも
さらに他の細菌に感染(二次感染)するのを
予防する目的で、
抗生剤点眼が処方されることがあります。
めやにや充血などの症状を
やわらげるために、
対症療法として、
炎症をおさえる点眼が
処方されることがあります。
自分自身の身体の中で
新型コロナウイルスに対する
抗体が作られると、
自分の免疫力がウイルスを排除してくれて、
結膜炎も治ることになります。
<自分でできる予防と対策>
自分でできる結膜炎予防
★目の周りを触ったり、こすったりしないようにする。
実際に徹底するのは
簡単ではないかもしれないですが、
大事なことだと思います。
結膜炎と診断された場合
★めやにや涙が出たら、ティッシュで拭いて、その場ですぐ捨てる。
(ハンカチは使わない。一度使ったティッシュは繰り返し使わない。)
★目の周りやめやに、涙に触れたら、周りをさわる前に手を洗う。
★目薬をする前、した後に、よく手を洗う。
新型コロナウイルスに限らず、
まわりの方に結膜炎感染を広げないために、
ご配慮ください。
<その他の質問>
「ウイルスを洗い流すために
たくさん目薬をさすといいですか?」
というご質問を受けました。
明らかに目の中に、
咳やくしゃみによる
唾液や鼻水が入ったのであれば、
よく目を洗っていただいたほうが
いいと思います。
それ以外の場合、
感染予防の目的で
大量の目薬で目を洗ったり、
1日に何度も何度も目薬をすることは
おすすめしません。
大量もしくは頻回の目薬によって、
目の表面を守っている涙を
洗い流してしまうことになります。
その結果、
感染に対するバリアの働きをしてくれている
角膜(黒目)や結膜(白目)の表面に
細かい傷を作ってしまって、
むしろ感染しやすくなる可能性もあると思います。
一番は、基本的なマスク着用や手洗い、
咳エチケットが大切です。
<最後に>
眼科を受診される際は
症状にかかわらず
マスク着用をお願いします。
結膜炎症状、風邪症状がある場合は
受付で必ずお知らせください。
<参考>
American Academy of Ophthalmology
American Optometric Association
#目の病気について #新型コロナウイルス #結膜炎
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