こんにちは。
大宮はまだ眼科西口分院の
福岡詩麻です。
私は、涙のあぶらについての臨床研究をしています。
このたび、ジクアホソルナトリウム点眼液(ジクアス®)がマイボーム腺機能不全をともなうドライアイ眼の涙のあぶら(涙液油層)に与える効果についての研究が、Scientific Reportsという科学誌に掲載されました!
a randomized clinical study. Fukuoka S, Arita R.
Sci Rep. 2019 Jun 24;9(1):9091. doi: 10.1038/s41598-019-45475-7.
眼の表面を守っている涙は、水分と油層とムチンから構成されています。
ジクアホソルナトリウム点眼液(ジクアス®、参天製薬)は、涙の水分やムチンを増加させる効果があり、ドライアイの目薬として使われています。
以前に、正常眼の方々に
ジクアホソル点眼液を1回点眼したところ、点眼60分後まで点眼前よりも涙のあぶらの厚みが増えていたということを論文で報告しました。
涙のあぶらは、まぶたにあるマイボーム腺から分泌されています。
今回、マイボーム腺機能不全をともなうドライアイ患者の方々の片眼に人工涙液、反対目にジクアホソル点眼液を点眼してくらべる研究を行いました。
★点眼60分後まで点眼前よりも涙のあぶらの厚みが増えていました。
★点眼90分後まで点眼前よりも涙の安定性がよくなっていました。
★点眼90分後まで涙のあぶらが増えて、涙の水とあぶらのバランスがよくなっていました。
★人工涙液よりもジクアホソル点眼液を点眼した眼のほうが、自覚症状も改善していました。
この研究の結果から、ジクアホソル点眼液は、正常眼だけでなくマイボーム腺機能不全を伴うドライアイ眼でも、涙の水分やムチンだけでなく、マイボーム腺からの涙のあぶらの分泌を増やすはたらきがあり、涙の安定性と自覚症状を改善する効果があると考えられました。
ジクアホソル点眼液は、涙の水が少ない患者さんだけでなく、涙のあぶらが少ない患者さんの治療の選択肢にもなります。
無料でインターネットでご覧いただけますので、ご興味のある方は読んでください。
先日、共著者の有田玲子先生(伊藤医院)に、論文のお祝いをしていただきました~!
計画段階から論文掲載まで3年以上かかりました。有田先生、伊藤医院の方々、臨床研究にご参加くださった方々、濱田先生、その他、たくさんの方々のご協力と応援により論文として発表できました。
どうもありがとうございました!!
この研究が、たくさんの患者さんのお役にたてますように