こんにちは
大宮はまだ眼科西口分院の
福岡詩麻です。
2019年2月1~3日に、
パシフィコ横浜で行われている
日本眼科手術学会総会の
教育セミナーで、
“霰粒腫(さんりゅうしゅ)
切らない治療”
についてお話させていただきました。
霰粒腫は、
マイボーム腺というまぶたにある
あぶらの腺がつまってできる
しこり(肉芽)です。
以前の
LIME研究会のマイボーム腺講習会でも
慶応大学の野田実香先生と
“霰粒腫 切って治すか、
切らないで治すか”をテーマに
ディベートさせていただく機会が
ありましたが、
今回は、こともあろうに、
手術をたくさんされている
眼科の先生方が集まる
日本眼科手術学会で、
切らない、手術しない
お話をすることになったのです!
慶応大学の野田実香先生と
埼玉医大医療センター教授の
小幡博人先生が座長をされ、
野田先生、小幡先生、
井出眼科病院の水戸秀哲先生が、
手術で治療する派
伊藤医院の有田先生と、
わたし福岡が、
切らないで治療する派
ということで、
霰粒腫について
いろいろな方向から検討したり、討論したり、
90分があっという間でした。
左から小幡先生(埼玉医大)、
有田先生(伊藤医院、LIME研究会)、
野田先生(慶応大)、
福岡、
水戸先生(井出眼科医院)
霰粒腫の治療法としては、
温存療法、ステロイド注射、
点眼・軟膏、切除術があります。
温存療法は、
患者さんご自身に
ご自宅で行っていただく
マイボーム腺のケア
“マイボケア”である
温罨法(あたためる)、
リッドハイジーン
(まぶたの縁をきれいにする)が
主になります。
温存療法は
古くからある治療法ですが、
霰粒腫に一定の効果がある
(治癒率30-80%)と報告されています。
ご自分で行っていただくケアですので
根気と時間は少々必要ですが、
痛くなく治したい方、
霰粒腫がたくさんできてしまう方、
まぶたの炎症(眼瞼炎)がある方、
デモデックス(まつげダニ)
がいる方の再発予防にも
効果が高いことが
最近報告されています。
一度、霰粒腫になってしまうと、
その部分のマイボーム腺は
破壊されてしまって復活しません。
マイボーム腺は涙のあぶらをつくる
大事な組織です。
霰粒腫ができやすい方は、
予防のために、
温罨法・リッドハイジーンを
おすすめします。
ステロイド注射は、
欧米では霰粒腫の主流の治療で、
治癒率は60-90%で、
切除術と同じ程度とされています。
手術はしたくないけど、
早く小さくしたい方におすすめです。
注射をしても、
しこりが残ることがあるのと、
少し経つと
また同じ場所に
でてくることがあります。
注射後、
ステロイドのかたまりが残り、
皮膚側から透けてみえることがあります。
注射が効かない場合は、
手術が必要になる場合があります。
霰粒腫でも、
大きさや場所によっては、
視機能に影響したり、
瘢痕(あと)が残ることがあります。
また、
霰粒腫のしこりのようにみえても、
中には脂腺癌など
別の病気のことがあるので、
手術をして
しっかり切除したほうが
よいことがあります。
患者さんのために、
霰粒腫について
もっと知りたい!、治したい!という
あついあつい想いを持った
先生方との教育セミナーで、
霰粒腫について、
さらに深く学ぶことができました。
※当院では、
霰粒腫の温存療法だけでなく、
ステロイド注射、
切除術も行っております。
温存療法、ステロイド注射を
ご希望の場合は、
予約はいりません。
ステロイド注射ご希望の方は、
福岡の外来日に受診してください。
切除術は
一度受診して診察させていただいてから、
別の日に予約になります。
福岡の外来日に受診してください。
お子さんに対する
ステロイド注射は行っておりません。
小さなお子さんで手術が必要な方は、
専門の先生を
ご紹介させていただきます。
※霰粒腫とにたように
まぶたが腫れる、
いわゆる「ものもらい」の
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)は、
まぶたの縁にあるあぶらの腺に
細菌が感染しておこります。
麦粒腫の主な治療は抗生剤です。
重症の場合は切開です。
あわせてご覧ください。
霰粒腫治療のまとめ
霰粒腫、大きく切るか、温存するか
霰粒腫について、
LIME研究会のホームページ に
詳しく書きました