2017年10月に、神戸で行われた無痛無汗症シンポジウムに参加して、眼科検診を行ってきました。
先天性無痛無汗症は、全身性の痛覚障害(痛みを感じにくい)、温度覚障害、無汗症、及び知能障害を主徴とする非常にまれな遺伝性疾患です。2015年に厚生労働省により難病に指定されています。 痛みを感じないため、けがや骨折が多く、発汗障害や温度覚障害から体温コントロールができず、熱性けいれんをおこします。 毎年、トゥモロウという無痛無汗症の会のシンポジウムの際に、小児科、整形外科、歯科、皮膚科、発達心理など各科の専門家が集まり、検診会をしております。私は、10年以上前から東大病院眼科の先生方と検診会に参加しております。
先天性無痛無汗症の患者さんは、眼科的には、角膜上皮障害(黒目の細かい傷)、ドライアイが高率にみられます。角膜の中の神経が減少しており、角膜の知覚が低下しております。感染もしくは自傷行為(自分で自分の目をきずつけてしまう)による角膜潰瘍からの角膜混濁(黒目のにごり)が原因で視力障害にいたる方がいます。
先天性無痛無汗症の患者さんは、傷ができたり、感染などを起こしたりしても痛みを感じにくいので、異常に気づきにくい可能性があります。毎年の検診会を通して、先天性無痛無汗症の患者さんのお役に立ちたいと思っております。
ご家族が見守る中、最新の機器を使用して、先天性無痛無汗症の患者さんの涙の検査中です。
(中央、検査しているのが福岡)
角膜にキズがないか、マイボーム腺の形に異常がないか、診察します。
(左は東大病院の白川理香先生)
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